いつかの現在地

2019/8/30引越し

好きを形にする力


 
 

毎日のラジオ体操。一日3分の体幹レーニング。チューナーを使った発声練習。
仕事の合間の横隔膜ストレッチ。通勤中の深呼吸歩行。


正直、どれの何が効いたのかよく分からないけど、今年の4月時点の自分の歌声と比べて、はっきりと上達した実感があります。もとが酷すぎた分、変化が分かりやすい。





特に上達を感じるのは、音程感。

昔は何百回と聞いた曲でも音を合わせることができなかったのに、今は、いったん演奏を止めてアカペラで歌ってみても、何回か練習すれば、自分の耳で識別できるレベルではありますが、ちゃんと正しい音程を出せている実感があります。

耳の音程感が良くなったせいか、逆に音を外した部分に歌いながら気づけるようになった分、まだまだだなぁって感じることも増えました。

低音域の音程の移動が特に怪しい感じです。



それから、はっきり変わったなぁって思うのが、歌声そのもの。

高い音を出すことに躍起になっていた昔では気づかなかった、声そのものの棒読み感。平坦な高音。リズム感のなさ。
それが、今は、歌の中のところどころで、いわゆる「歌手っぽい声」が出せるようになってきました。

これは、肉体の強化…の成果なのかなぁ。

ビブラートと呼んでよいのか、音の置き方というか、響かせ方が、徐々に歌の上手い人のそれに近づいてきたような、そんな感じです。

ただこの部分も、なんとなく雰囲気で歌っているだけなので、自分の声を使いこなせているわけではなく、「あっ、今のいいかも」って思っても後で再現できない。


そんなこんなで、今、多分一般人レベルの平均くらいまでは来れたような気がしています。

 

 
 
それは、素直にうれしい。本当にうれしい。
 
当時のゴミみたいな自分の声とか音程とか、録音もしてあるし、よく知っているから、成長が分かって、うれしいのは間違いない。


でも、もっと先に進みたい。





先日、歌のめっちゃ上手い後輩(私が尊敬する歌の師匠)と3か月ぶりくらいにカラオケに行きました。
相変わらず彼の歌はプロみたいで、音程、リズム、発声、声量、すべてにおいて敵わないなぁと思いながら、しみじみと聞き惚れました。
 
でも、その帰りの車の中で、「先輩歌上手くなってて驚きました」って言われて、あぁ一応自分も上達はしてたんだなぁって気づきました。

下手なころから一緒にカラオケに行ってた仲間なので、私の初期値を知っているし、それはもう本当にうれしかったです。


 
でも、うれしいのと同じくらい、やっぱりもっと先に行きたいなぁって思うのです。





私は、別に歌手を目指しているわけでもなく、バンドやってるわけでもなく、カラオケで歌うくらいしか機会がない人間で。

なんでそんなに上手く歌いたかったんだっけって考えると。あれどうしてだっけって、ちょっとよく分からなくなって。




褒められたいとか、すごいって言われたいとか、もちろんあります。
そりゃ下手より上手い方がいいです。けなされるより褒められる方がうれしいです。

あれ、でもそれだけだっけ?って振り返っていくと、




 

思い出しました。

4年前の忘年会後のカラオケ、3年前の若手カラオケ、すごく悔しかったんです。
 
流行りの曲を知らない私は、アニメの曲とか、アイマス曲とか、マイナーなBUMPの曲とか歌いました。

有名じゃないけど、どれも大好きな曲でした。





でも、自分の大好きな歌を歌って、それを聞いていた周りのみんなの反応がはっきりと伝わってきたんです。

みんな、なんとも感じてないって分かりました。多分、誰の何の記憶にも残らない。



自分が本気で大好きな、最高って信じてやまない歌が、まったく何とも思われていないことが。
 
盛り上げるためのネタで歌ってるんじゃなくて、私の本当に好きな曲なんだって伝わってないってことが悔しかったんです。


下手だから。自分の歌が下手だから。
当は最高に良い曲なのに、自分の下手なせいで。

ただのネタだと思われて、心に届かず記憶に残らず終わっていくことが。


本当に悔しかったんです。

それが多分、私の「歌上手くなりたい」の始まりでした。





ミスチルとかコブクロとかバックナンバーとか。

もちろん、どれも本当に素晴らしい曲だと思います。


でも、私が大好きな曲たちがそれらに劣っているとはどうしても思えない。

アニソンだからとか、マイナーだからとか。それは仕方ないけど。
絶対に同じくらい素晴らしい曲なんだって思っています。

だからそれを、自分の力不足のせいで証明できなかったのが、すごく悔しかったんです。




ダラダラと長くなってしまいましたが、

やっぱり私は、上手に歌えるようになりたいです。



一般レベルで、「お、キミ歌上手いね」じゃなくて、


たまたまそこに居合わせた人に、「え、初めて聞いたけど、これなんていう曲なの?」って思わせるくらいに

その歌の良さを少しでも伝えられるような、歌を歌えるようになりたいです。

 

知名度とか、ジャンルとか、そういう事前情報を突き破るくらい、心を動かす響かす歌を歌いたいです。






は、何言ってんのコイツって、これ書いてて自分でも思います。
 
そんなことできたら、もはやプロの歌手です。
プロでなくても歌の上手い人なんていっぱいいます。ごろごろいます。別に私がやらなくちゃいけない理由も必要もありません。
 
たくさん練習して、たくさんの時間を積み重ねて、それでも特別にはなれないってきっとそういう世界なのに。


基本の音程すら安定しない音痴が、楽譜も読めないレベルの音楽素人が言えるようなことじゃないです。




そもそも、たとえどんなに上手く歌えたとしても、結局は、個人の好き嫌いの話です。
興味がないものは興味ないし、根本的にお前の声が生理的に無理、とか普通にあると思います。

それは仕方ないです。100%を出して届かないならそれはしょうがない。




でも、そんな心配は自分の100%を出した後で、ならしょうがないねって言えばいいんです。

ここはまだ、自分の100%じゃないかもしれない。

100%まで出したら、もしかしたら興味を持ってくれるかもしれない。「おや」って思ってもらえるかもしれない。

一人くらい、「いい曲だね」って思ってくれるかもしれない。




二次元のアイドルが歌って踊るオタク向けのアニソンとか、ゲームの曲とか。
誰が知ってんの?ってレベルのみんなのうたとかローカルソングとか。


証明したい。届けたい。

人任せじゃなくて、言葉をづらづら並べて説明するんじゃなくて。
 

その歌を大好きな自分が。
その曲がどれだけ最高に最高な曲なのか、よく知ってる自分が。

それがどんなに素敵な歌なのか。楽しい歌なのか。




もちろん限界はあります
多分私に音楽の才能はありません。経験も知識もないです。足りないです。

今さら届きようもない領域はあります。


 
だけどせめて、好きってことは伝えたい。
 
有名じゃないかもしれない、偏見もあるかもしれない。
でも、私はこの曲が大好きなんですって。
 
「自分」にできる最高の形で示したい。
 
言葉で説明するんじゃなくて、歌という形にしたい。
 
 
 
やっと到達できた自分にとっての限界、天井、100%が、誰かにとっての10%であっても。
私の好きは、私でしか伝えられない。

だからもう少し、あきらめ悪くがんばってみようと思います。