いつかの現在地

2019/8/30引越し

そのうち食べようと思っていたら。


「ごめんなさい」


一人暮らし、誰もいない静かな部屋で。

ふとそんな言葉を口にしたくなる。




「ごめんなさい、ごめんなさい」


声に出して、叫びたくてたまらない。

何度でも、何度でも、心の中で繰り返す。




「ごめんなさい、ごめんなさい」


誰に聞かせるためでもない。



その言葉は――、自分のためのもの。








だから何も言わず
グッとこらえて


しわしわに変わり果てたりんごを、
ごみ箱の中へそっと捨てた。