いつかの現在地

2019/8/30引越し

「人は自然には勝てない」

とか、

「人間なんて自然の前では無力だ。」とか。


こういう意見は台風や地震のニュースの時に頻繁に見かけて、妙に説得力もあるけど、それはなんか違くない?


むしろ人は、自然に対して十分健闘してるし善戦してると思う。



だって、土砂降りの天気でも、建物の中では、雨に打たれて冷えることもなく、
暖かい部屋で食事をしながら平気でくつろげる。

寒かったら暖房つけて毛布にくるまって当然のように生き延びられるし、冷たい風の吹く中でも当たり前のように睡眠がとれる。


これもう、ほとんど毎日人間の完勝じゃないか。


だって、ホントに人間が自然の前になすすべがなかったら、冬の季節は朝を迎えるたびにそこら中で何百人もの凍死者が出るんじゃないのか。



大雨の中、生き物たちは木々などの陰にじっと身を隠して、嵐が去るのを待つ。

そんな中、わけのわからん鉄の箱の中に入って、天候などお構いなしに平然とあっちこっちを動き回るのは人間くらいだろう。


運転ダイヤの乱れとかそういうレベルでなく、大抵の生き物がじっとしているような悪天候の中で、当然のようにいつものと変わらない活動をしようとする人間のずうずうしさ。

別に嵐が来たって、安全な飲み水は確保できるし食べ物だって簡単に手に入る。建物の中に雨に当たらない快適な環境をもってる。



「人は自然の前には無力」とか言ってる人はこの辺のことをどう思ってるのだろうか。



確かに、


冷たい雨に打たれたら簡単に体調を崩す。
変な水飲んだらお腹壊す。
下水を垂れ流したら疫病がはやる。
長時間太陽に当たったら熱射病になるし、35度の高温(笑)の中では熱中症にかかり命も落とす。

弱い。人間の体はホント弱い。
デリケート、簡単に調子が狂う。



人間の体自体は貧弱で、もしその寒い風の中にずっといたなら病気になったり、炎症起こしたり、命を落としたりするだろうけど、

ちゃんと、雨風から身を守る建物を作り、安全な水も飲めるし、暖をとることもできる。


モノの流通や食糧・飲み水・下水などのライフライン。さらには、テレビやラジオ、インターネットや携帯電話の情報ネットワーク。

そういうネットワークやライフラインを形成して、生身だったら被害甚大なあれやこれを見事に克服してる。




「人は自然には勝てない…」とか言ってる人は、こういうことをどう思っているのか。
これらを当たり前のことのように思ってないか?

そもそも、そんなことを言っている人ほど、自然を低く見ているんじゃないのか
人間が自然に勝てるものという前提でいるんじゃないか。



まず「自然」って言葉自体が、「人為じゃないもの、人間にはどうにもできないもの」という意味を含んでる。


だからもともと、人間にはどうにもならないものが自然と言われているものであって、
それに勝つとかその考え方がおかしい気がするんだ。

人間も自然の中にある一つ。

自然は人間が勝てるものじゃなくて、
せいぜいどれだけ対抗できるか。あらがえるか。といったところじゃないか。






台風や地震、火山の噴火、河川の氾濫などによって、傷を負ったり、死者が出たり、建物が壊れたりする。

そして言う。
「どれだけ頑張っても自然には勝てない」
「人は自然の前では無力なんだ」


おいおい。

そりゃあそうだろう。それが「自然」なんだから。
何?
自然に勝てるつもりでいたのかい?
ははは、人間にどうこうできないから自然と呼ぶんじゃなかったのか?




人間が自然に勝てないのは当たり前で、

ていうかもっと人間の方を評価するべきだろう。



貧弱なくせにこれほど自然に対抗している人間の方を、もう少し褒めてあげたっていいじゃないか。