パワポケは、1~11、13、14とやってきて、
私の場合はどちらかというと、「より強い選手を作ろう!」と言うよりは、自分の選択で結末が変わっていくドラマを見ているような、そんな不思議な感覚が楽くてやってる感じでした。
下手くそな自分の操作に苦心しつつも、エンディングを迎えて見る1枚絵のアルバムは本当にじんときて、メニュー画面に戻ってからもしばしの間、充実感を感じながらも終わってしまって寂しいような余韻に浸るわけです。
No.33「雨」
パワポケ14のアルバムの一つです。
心揺らされたアルバムは数あれど、その中でも最上級に好きなアルバムです。
一言でいうと、かっこいい。
本当にかっこいい。
8をプレイしたことなくて14の白瀬しか知らなくても、うわ、この人かっけぇなとは感じると思いますが。
8主人公とのシリアスだったりギャグだったりするやり取り、楽しそうで真剣で、そんな生き生きとした彼女の姿を知っていると、
14の彼女の言動、一つ一つが、グッサグサと心に刺さります。
荒唐無稽に桁外れの強さや能力を持つキャラが続々と登場してくる本作で、
きっとすでにまったく最強ではなく、本調子でもない、それでも白瀬のかっこよさは色褪せません。
14劇中の坂田博士とのやり取り。
この人、一見では、感情や倫理観の欠如した人でなしに見えるかもしれませんが、
これ結構実際、同じようなことを思ってる、感じたことのある人はいるんじゃないでしょうか。
私もその一人なので、彼が悪人には見えません。むしろ代弁してもらったような気持ちにすらなります。
老いの怖さ。昨日できたことが今日できなくなる。
子どもがメインターゲットのゲームで、こんなのをさらっと入れてきます。
多分子どもたちには、伝わりませんし、そもそも作り手側も別に伝わんなくてもいいやと思っているように、私には見えます。
だからといって、子供だましに作っとけばいいやじゃなくて、だからこそ、真剣にイタズラっぽくこういう部分を盛り込んでくる辺りが、本当にパワポケ大好きです。
じゃあ、何がすごいかって、
ゲーム中、プレイヤー自身、ヒーローたちには、ステータス下げられたり散々嫌な目に遭わされてきたわけで、そのヒーローどもをついに倒した!やっつけた!っというタイミングで、この話が出てくるわけです。
博士のセリフが初出である必要なんてないです。
こういうゲームで、一連のストーリーの中で、小学生にも分かるように言葉を選びつつ、しかも別に理解できなくても支障ないよ程度のノリで、語られたこと。
それがすごいです。
‥‥めちゃくちゃ話が脱線しました。
白瀬かわいいよ白瀬。
そうです。白瀬はかわいくてかっこいいんです。
『でもね、変えられない「運命」でも、「意味」を変えることはできる。』
『私の人生はもうじき終わるけど、その人生は価値あるものだったのか。』
『だから、最後までがんばって生きるの。』
クサい台詞だなって思いますか?
私は正直、最初このシーン見たとき、「‥‥あぅ‥‥はぁっ‥‥」ってなりました。(伝わらん
ここから先は私の勝手な想像です。
多分、この時点でもう8主人公は亡くなってます。
正史ルートがどうなってるのか分かりませんが、彼女になったとしても未満だったとしても、
あの白瀬と8主人公二人の、ライバルで同僚で、ちょっぴりそれ以上な、ギャグでシリアスなやり取りはきっとあったでしょう。(あってほしい)
あの生き生きしてた二人は確かにいた。そんな風に過ごした時間は確かにあった。
その上で、もう戻らない時間と、失った後の今と、もうじき終わりを迎える自分を、知って、見据えて、上のセリフが出て来たんだと思うと。
「‥‥あぅ‥‥はぁっ‥‥」ってなります。(伝わらんて
絶望なんてかけらもない。
痛みも辛さもきっとたくさんあって、耐えて堪えて、乗り越えてきたし乗り越えられなかったものもたくさんあるだろうけど、絶望はない。ありません。
彼女候補だった彼女のことを、作中でこうもはっきりと、もう死にますと示してしまうこと、8主人公が恐らくもう死んでいること。
好ましくなく思う方もいるかもしれません。
それも、シリーズとして長く続いたこの作品だからこそかもしれません。
でも、私は、この「雨」のアルバムを見て、
良かった。と思いました。
本当に良かったな。と思いました。
パワポケ8の終盤。主人公との一騎打ち。
『それで死んだらバカバカしいわ』、なんて
『あたしら一人二人ががんばったところで、世の中変わんないよ』、なんて、
8の頃の彼女は、強くてちょっとスレてて、
生きながら戦いながらも、どこか冷めてて諦めてて。
それが8主人公と出会って、関わって、少しずつ変わって来たんだと思うと、その道のりは本当に「意味」があったんだなって。
彼女は、「意味」を変えられたんだなと、見つけることができたんだなと。
最後までがんばって生きたんだな、と。
そして、そんな白瀬の言葉が姿勢が、14主人公を動かし、ハンナちゃんへ伝わり、受け継がれ、結果、世の中すら変えていく。
最後、ジオットと対峙するレッドはもちろんかっこいいですが、8主人公のいた証、彼女が求め残した「意味」。
それぞれが、ちゃんと積み重なって、ここにこうして生きている。
雨の街を、最後の場所へ向かう彼女が、幸せそうに微笑むのは、
今日という日まで全力で生きてきた自分を知っているから。
それがかっこよくて、本当にかっこよくて、そして羨ましいなと。
そう思うのです。