自分に宛てた言葉
完璧な大人なんていない。
それは理想の中のさらに架空。
どんな偉人だって人格者だって、ある分野においては無知で、偏見や決めつけを持っている。
全部を分かってて圧倒的な高さから自分を見降ろしている。
こちらが何を言ってもまるで届かず、決して揺らぐことのない、そんな大人は実際にはいない。
それはたくさんの知識があるということではない。
知らないことはあっても、それがどういうことなのか、どういう意味をもたらすのかが分かっている、ということ。
いつの間にかそんなものになろうとして。
そんなこと無理に決まっていて、やっぱり無理だった。
ただ、あの高校生の自分が、そばにいて欲しいと願った「そいつ」になろうと。
自分のことでいっぱいいっぱいの周りの大人たちに、怒りや憎しみを抱えながら、
そこは確かに一つしかない自分の家で、大切な人たちである彼らを切り捨てることもできず、
ばらばらになっていくみんなを繋ぎ止めようと奮闘する。
周りの同年代の人たちは部活やバイト、恋人、カラオケやボーリング。
友達の誘いをへたくそな言い訳で断って、家に帰ればギリな大人の緩衝材。
比べずにはいられない。なんで自分ばっかり。
そんな自分を叱る。そんなことを考える自分が弱いのだと。
枕を殴って罪悪感に浸る。下から自分を呼ぶ声がする。元気に返事をする。
うまくいかない。大人たちは歩み寄らない。解決はしない。
なのにみな僕を普通の高校生のように扱う。
だれも僕の頑張りを知らない。僕の気遣いを分かってくれない。自分のしてることが正しいのかも分からない。この苦しみを分かってくれない。
なんで僕が…。だれか聞いてよ…。
暗い部屋のなかで独り泣いている。
気付かないうちに、
あの時の自分が、こんな人がいてくれたらいいのに、と願っていた「そいつ」になろうとしてきた。
こんな人が近くにいたら、と願っていた。
ただ、頑張ったね。大変だったね。と言ってもらいたかっただけ。
そいつになろうとしてただけ。
でももうあの子にその言葉をかけてあげることはできない。
その理想の中の架空は、自分では間に合わなかった。
なのにまだそこへ向かってる。
無理なのに向かってる。今も。
今、それを止めるかどうかが、最初の、そして決定的な、分岐。
それは理想の中のさらに架空。
どんな偉人だって人格者だって、ある分野においては無知で、偏見や決めつけを持っている。
全部を分かってて圧倒的な高さから自分を見降ろしている。
こちらが何を言ってもまるで届かず、決して揺らぐことのない、そんな大人は実際にはいない。
それはたくさんの知識があるということではない。
知らないことはあっても、それがどういうことなのか、どういう意味をもたらすのかが分かっている、ということ。
いつの間にかそんなものになろうとして。
そんなこと無理に決まっていて、やっぱり無理だった。
ただ、あの高校生の自分が、そばにいて欲しいと願った「そいつ」になろうと。
自分のことでいっぱいいっぱいの周りの大人たちに、怒りや憎しみを抱えながら、
そこは確かに一つしかない自分の家で、大切な人たちである彼らを切り捨てることもできず、
ばらばらになっていくみんなを繋ぎ止めようと奮闘する。
周りの同年代の人たちは部活やバイト、恋人、カラオケやボーリング。
友達の誘いをへたくそな言い訳で断って、家に帰ればギリな大人の緩衝材。
比べずにはいられない。なんで自分ばっかり。
そんな自分を叱る。そんなことを考える自分が弱いのだと。
枕を殴って罪悪感に浸る。下から自分を呼ぶ声がする。元気に返事をする。
うまくいかない。大人たちは歩み寄らない。解決はしない。
なのにみな僕を普通の高校生のように扱う。
だれも僕の頑張りを知らない。僕の気遣いを分かってくれない。自分のしてることが正しいのかも分からない。この苦しみを分かってくれない。
なんで僕が…。だれか聞いてよ…。
暗い部屋のなかで独り泣いている。
気付かないうちに、
あの時の自分が、こんな人がいてくれたらいいのに、と願っていた「そいつ」になろうとしてきた。
こんな人が近くにいたら、と願っていた。
ただ、頑張ったね。大変だったね。と言ってもらいたかっただけ。
そいつになろうとしてただけ。
でももうあの子にその言葉をかけてあげることはできない。
その理想の中の架空は、自分では間に合わなかった。
なのにまだそこへ向かってる。
無理なのに向かってる。今も。
今、それを止めるかどうかが、最初の、そして決定的な、分岐。