いつかの現在地

2019/8/30引越し

ゆっ、ゆゆゆ幽霊なんているわけないだろ馬鹿馬鹿しい!

山の木々は色付き、いよいよ秋の深まりを感じる今日この頃、いかがお過ごしでしょうか?
ええ、そうですね。秋と言ったら怪談ですね。
ということでここらへんでちょいと身も震えるような(?)体験談をひとつご紹介します! (ツッコミ不在)

そう、あれは私が高校2年の時…、修学旅行で体験した不思議な不思議なおはなしです…。(暗転




 私たちの高校の修学旅行は、二泊三日で九州地方をめぐるものでした。長崎の原爆資料館グラバー園太宰府天満宮など、いかにも公立高校の修学旅行といった様子の目的地設定でした。おおまかに言うと、1日目は学年全員で資料館を見学し、2日目は班ごとに自由行動、3日目はクラスごとに見てまわるという日程になっていました。

その出来事が起きたのは旅行1日目の夜。私たちのテンションやワクワク感が最高潮を迎える1日目の夜に泊まったその旅館で起こったのです―。

~それっぽいBGM~
ご覧のスポンサーのうんたらかんたら



――それは何でもない、ごく普通のありふれたことから始まった。

 割り振られた大部屋に入るや否や、芳子は両手に持った荷物を投げ出し、ボフッと布団の上に寝転がった。まだ夕食前なのになぜか部屋の一隅にだけすでに布団が敷かれていたのは…きっとS子が勝手に出してきたからだろう。さっき眠い眠い言ってたし。まぁ結局当人は布団を敷くだけ敷いて、他のクラスの友達と旅館内の探検に出かけちゃったみたいだけど…。

そんなことを頭の隅で考えつつ、バッグから取り出した携帯の充電機をコンセントに差し込み、だらしなく寝そべりながら昼間撮った写真を眺める。
「はぁ…今日は楽しかったなー。明日は…まず中華街に行って、その後はアイスを食べて…んんー楽しみだーっ♪」

あっそうだ!昼間撮った写真、Y子たちから送るように頼まれてたんだっけ…。ん~と……これだっけ。あ、こっちの方がいいかも。…あ、これなんか…よし、バスの中で偶然にも激写してしまったT美のこの寝顔写真もついでに送っちゃおう♪これは傑作だぞ~、にひひひ

「芳子ー、そろそろ広間行くよー」
 昼間大量に撮りまくった写真の中から
あれこれと悩みつつ、ニヤニヤしながら自分的ベストショットを3つ選び出したところで、いつの間にか戻ってきていたS子に呼ばれた。あれ、もうそんな時間??
とりあえず選んだその3枚だけをメールに添付して、頼まれていたT美たち5人にまとめて送信した。まぁ他にもいっぱいあるけど、後で赤外線で送ればいいよね。

携帯は充電し終わっていないので、コンセントに差したままでバッグの中に入れて一応隠しておいた。

「さて、ご飯ご飯♪」
部屋の電気を消し、ウキウキ気分で大広間に向かった。



―夕食後。

思いのほか…というか思ったとおり、T美の寝顔は大好評だった。特にY子にはばかウケで非常にツボに入ったらしく、夕食の間もちょくちょく思い出して爆笑していた。当の本人T美は、
私と同じく自分の携帯は現在部屋で絶賛充電中のため、まだその写真をちゃんと見ていないようだったが、絶対消してやる!と友達の携帯を取り上げて削除しようと、割と本気で暴れていた。
そして今はまた部屋に戻ってきて、先ほどと同じく布団に寝そべりまったりとしているところだ。…んん、あれだけ嫌がってたし…しょうがない。削除しておこう!…名残惜しいけど。

…と、何ともアホらしい逡巡を見せていると、別室のはずのT美が部屋に入ってきた。うわわ…ちゃんと削除したのを確認しに来ちゃったよ!これはよっぽど恥ずかしかったんだね…。

ごめんごめん、今消すから!ほら、<削除しました>って」
「もー、だいたいあんな写真いつの間に撮ったの!?私ほとんど寝ないようにして
たのに!
いや結構寝てたよね。
「あはは、だからごめんって。今度私の寝顔撮らせてあげるから、ね?」
「結構です!!……ってそれより、さっきのメール何だったの?」
…メール?ああ、さっきの写真のこと?
「いやいや安心して!こうしてオリジナルデータは削除したわけだから、あとはTちゃんの携帯のを消せばその写真はばっちりこの世界から消滅だよ!」
「いや、わたしのとこにはその写真来てないよ」
「え?来てない?」
「え?来てないよ?」
………?
T美だけに別の写真送ったんだっけ?いや、5人まとめて一括送信したんだからそれはない。一応聞いてみる。
「えと、私どの写真送ったんだっけ?」
「え、写真何も送られてきてないよ」
あー…なんだ送信ミスかぁ。T美にだけ届かなかったんだ。他の4人にはちゃんと届いてたのに。そんなこともあるんだなぁ。
「なんだ、じゃあ送信ミスっちゃったんだよ。あー大丈夫安心して!また後でばっちり寝顔写真も添付して送っておくから!!」

いらないよ!!という突っ込みを期待したのだけどそんな反応は何もなく、T美はどういうわけか怪訝な表情をしている。
「じゃあこのメールは何だったの…?」
「メールって?」
「夕食の前に送ってきたやつ」
…なんだか話がかみ合わない。
「写真添付したやつでしょ?」
「…え?」
「私、写真のやつしか送ってないよ?」
「来てないよ」
T美の顔がまた少しこわばる。…どういうこと?


そうだ送信履歴!ふと思いつき、自分の携帯を開く。………夕食前にT美に送ったメールは、例の写真を添付してまとめて送ったあのメールだけ。間違いない。
「だって、ほら。さっきの写真を5人に一括送信したメールだけで、あとはなんにも送ってないよ。」

見ると、T美はいつの間にか泣き出しそうな表情をしている。なんだか状況はよくわからないが、初めて見るそんなT美に私も次第に不安になってきた。
「…これ」
差し出されたT美の携帯のメールを見る…が
全く送った覚えがない。確かに写真などは添付されておらず、本文にはありふれた短い文がただ一行書かれているだけである。別の友達からのメールなんじゃ?と思ったが、差出人は私の名前になっている。‥‥背筋に何とも言えない冷たさを感じた。

「さっき部屋に帰って見てみたら、写真じゃなくてそのメールが来てたから…。なんか変だなと思ったんだけど…」
ない。私の送信フォルダの中にそんなメールはない。削除してもない。消したのはさっきの写真だけで…そもそもそんなメール他の友達にも送ってない。徐々に動悸が速くなる。

「じゃあ…このメール……」
「ごめんもう一回見せて!」
T美の携帯を半ば強引にもぎ取り、自分の送信履歴と見比べ―。今度は本当に背筋が凍りついたような気がした。
T美に届いたそのメールの受信時間と、私が一括して5人送ったメールの送信時間は、同じだった。
他の4人にはちゃんと写真が送られたのに、T美にだけ全く別のメールが届いた。……こんなことってあるの…?
ふと、さっきも見た本文に目をやる。そして再びのその一言を見て…私は今度こそ凍りついた。だって…さっきは何とも思わなかったけど、この一言って…。思い出すのは
昼間バスの中で聞いたガイドさんの話、長崎…原爆資料館…、そう言えばあの写真を撮った場所って―
「…芳子?」
本当に寒気がした。いつのまにか携帯を持った手が震えていた。


―そのメールに書かれていたのは別に普通の日常用語。
全く身に覚えのないそのメールは、誰かに送り間違えたのだとしても不思議じゃない。だけど、そんな普通の一言が―。

<本文> いまいくよ。








注)5割はフィクションです!!
芳子、S子、T美なる人物は実在してませんのであしからず。


ていうか全然怖くないね!面白くもないし!
期待してわざわざこんな駄文を読んで下さった方本当にすみません!!こんな文章書いたことなくてっ(汗汗汗 謝罪!大謝罪!!
でも、実際に遭ったホラーなんてこんなものなのですよ!爆


まぁ実際はこんな陳腐なホラー番組的展開はなくて、
「数人に写真を一括送信したら、一人にだけ写真じゃなくて「いまいくよ」とだけ書かれたメールが届いたよこえーなー」
という話です。


・・・・・・あれ?なんかこれだけの方が怖い気がする。

じゃあ上の無駄に頑張った文章はなんだったんだよ!!





→続かない