いつかの現在地

2019/8/30引越し

「六花の勇者」原作6巻まで読んで


※原作6巻までのネタバレが含まれています。

今期、アニメでやってる六花の勇者が大変面白く、続きが気になってしかたがなく、いよいよ我慢できなくなり、夜の22時に思い立ったようにチャリにまたがり、原作を買ってきてしまいました。


イメージ 1

ライトノベルを読むのは久しぶり(というか小説を読むこと自体が云年ぶり)だったのですが、読み始めたら1巻では止まらなくなり、また書店へ走って全巻購入し、結局、土日費やして、一気に6巻まで読み干してしまいました。
 
 
まず、感想。

面白かったです。
本読むのにこんな没頭したのは中学生の時以来かもしれません。

朝起きて、読み始めて、もう夕方になってました。


2巻の冒頭から衝撃的でした。
3巻は読んでいて辛かったです。
4巻では救われました。
5巻まで読んで、いよいよ次を読むのが怖くなりました。

うすうす予感はしていましたが、こころ張り裂けそうです。
でも、大丈夫。きっと、必ず逆転の一手を用意してくれているはず。

そうして、6巻まで読み終えた今の気持ち。
率直なこの気持ちをここに吐かせてください。

※原作6巻までのネタバレが含まれています。









 

 

フレミィいいいいいいいいいいいいうわああああああああああああ!!!!!!テグネウお前うわあああああああ!!!レミーレミーレミーフレミィィィィィィィッ‥‥くうぅ‥‥‥。



確信しました。

この作者はドSですね。間違いないです。(褒め言葉


テグネウさんまじ名悪役!だとかそういう講評してる場合じゃない。

切なさで心が張り裂けそうです。


6巻が発売されたのはついこの間、今年の7月。つまりここからまた云か月待たなきゃいけない。ほらね、絶対ドSです。(確信
 
物語としては、6巻でとりあえず一区切りな感じです。私の心は区切られません。


不安が尽きることのない、話が進むほど希望が閉ざされていく、そんな戦いでした。

そして訪れる、予想していた窮地。一つも覆すことができず落ちていく絶望。
そこからの逆転劇。


口を開けば誰が偽物だ誰を殺す、止まらぬ疑心暗鬼、ギスギス感ぱない。大丈夫なのかこの勇者たち‥‥。

別に分かり合ったわけでもなく、友情が芽生えたわけでもないけど、それぞれが最善を尽くし、補い、いつの間にか同じ方向を向いて奮闘する。

そんな、316ページくらいからの六花の反撃が非常に熱いです。
 
 
 

これまでもそうでしたが、6巻ではハンスの強さが際立ってます。
強いのはもちろん、頭脳もキレッキレです。ハンス・ハンプティなしには、この逆転劇はありえませんでした。ほんと頼りになる男です。

あと、チャモが巻が進むたびに可愛くなってます。そして1巻から一番成長しているのはチャモかもしれません。
猫さん猫さん言ってハンスを慕っているチャモが可愛くて心がチャモチャモします。(意味不

モーラさんはほんといい仕事をしてくれました。ゴルドフさんの安心感は六花一です。
 
 

そしてやっぱりアドレット・マイアは地上最強の男でした。

320ページ、フレミーの残した3行目。
こんなん反則です。熱いやら泣きたいやら。

素直すぎて、だからこそ深く傷ついて、なのにまだ真っ直ぐで。嬉しいけど辛い。可愛いけど切ない。もう自分でもわけが分かりません。(爆


アドレットは再び立ち上がります。

援軍が期待できない中、アドレットとハンスの二人がテグネウに立ち向かいます。


このアドレット&ハンスのコンビが、私的に非常にツボです。アニメ8話、9話見てて、この二人いいわぁってなりました。

天才と凡人。そこには越えようのない壁があって、普通ならコンビネーションにもならないはずなのに、凡人の限界上限値ギリギリまで磨き上げてなんとかついていくアドレットと、なんだかんだ言ってその力を評価し信用している天才ハンスと、全然仲良しでも友達でもなんでもない二人の連携にグッときます。(多分伝わらない

 
そして戦いはいよいよ大詰め。
これまでの戦いと毒で、ボロボロの仲間たち。最後まで六花を翻弄するテグネウ。

レミーに真実が伝えられる。

偽りの愛。偽りの言葉。
疑って、拒んで、やっと信じたどれもこれもが、偽りだったと。

嘘だったなんて信じられない。信じたくない。信じられるわけがない。

しかしアドレッドは言う。本当のことだと。
自分はずっと、テグネウに操られていたのだと。

全部、嘘だった。全部、偽りだった。

壊れていく世界。信じていたもの。
続けて、アドレットは言った。確かに偽りだった。嘘だった。だけど

「いつだって、嘘を真実に変えてきた」 と。
「お前を幸せにしてみせる」 と。
 
そして、テグネウの思惑は打ち砕かれる。
偽りから始まった愛が、奇跡を起こしたのだ。

アドレットは言い放つ。
俺はお前の玩具だったんじゃない。俺をフレミーに出会わせてくれるためにお前がいたんだと―。
 

最高ですね。

これでもかというほどの、さいっこうの逆転劇です。ここで終わっていれば。

終わらないんです。
終わらないんですよ、これが…。


テグネウは本当に、最後の最後まで最低なことをしでかしてくれました。
決め台詞なんて言わずにさっさとトドメを刺しておくべきだった。

いや、それを聞いても聞かなくても結果は大して変わらなかったのかもしれません。


「それなのに今は、ほんの少しもフレミーのことが愛おしくない。」

見間違いかと、2,3回読み直しました。見間違いじゃありませんでした。
レミーのことが愛せない。それどころか、レミーがいなければ村は滅ばなかった。フレミーさえいなければ…。
 
 
復讐心に囚われたアドレットが強くなれたのは、(テネグウの与えた)愛があったから。
テネグウを倒したのもまぎれもなく愛のおかげで、それもまたテネグウによって与えられたもの。

テグネウが倒され、偽りの愛は消えた。そしてどうなるか。
アドレットは戻っていく。テグネウに愛を与えられる前のアドレットに戻っていく。
アドレットはまた復讐心に囚われる。
 
 
そもそも、村が滅んでいなかったら復讐心に蝕まれることも強くなる必要もなかったわけで、なんで村は滅んだのか、アドレットを7人目にするため、フレミーを守らせるため。
レミーさえいなければ。そう思ってしまうアドレットの気持ちは、きわめて自然で、アドレットが冷酷な人間だというわけじゃない。

じゃあ、フレミーが悪いのか。悪くない。フレミーは知らなかった。けどそれで納得できるわけもない。


また憎まれる。結局、憎まれる。裏切られる。
レミーはまた、一人になってしまう。
 
偽の愛を失ったアドレットは、地上最強でなかったかつての自分に。
偽の愛を失ったフレミーは、誰を信じることもできないかつての自分に。
 
 
本当に恐ろしいやつです。試合に負けて、勝負に勝つとはまさにこのこと。

自分が倒されてもなお、二人を苦しめるテグネウの卑劣さ狡猾さ恐ろしさを、名悪役だと称賛する余裕など、今の私にはありません。

 
ただこの一文。
今のアドレットの気持ちに気づいたフレミーを表す一文。

『フレミーは悲しそうに顔を伏せた。』
 

あああああああ!
もう想像しただけで、心が折れそうです!辛すぎます!


まだ口汚く罵ってくれた方が楽です。

何も言わず、言えず、ただただ悲しそうに顔を伏せるフレミーを、その胸中を想像しただけで心がもげそうです。もげます。心もぎもぎフルーツです。


 
この巻ですっきり勝利して終わってくれてたら、こんな辛い思いをすることもなかったのに。いいや、そもそもこの本を買ってこなければ、こんな気持ちになることはなかったのに。
なのに、私は次の巻を待つことを止められない。

 
この作者は恐ろしい人です。